第204章 彼女を小林家に連れ戻す

一瞬、彼女は心の底から思った。

背後に小林家という「帰れる場所」があることを――どれほど幸運だろう、と。

水野佑奈が通話を切って間もなく、有川菜央が眠りから覚めた。

目を開けるなり、真っ先に机の前へ視線を走らせる。そこに、あの背中があるかどうかを確かめるように。

その反応を、水野佑奈は見逃さなかった。

だからこそ、連れて出る。ここから。そう決意がさらに固まる。

「菜央、起きちゃった? まだ早いよ。もう少し寝てなさい」

自分でも気づかないほど、声が柔らかい。

ちょうど入ってきた川西拓海が、思わず足を止めるくらいに。

「おっ、誰かと思ったら。そんな優しい声、久々に聞いたなぁ。…...

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